逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

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逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

66 伯爵令息の堕落1

 ウルリヒ自身はさしたる抵抗もなく、捕縛された。ツェーエンの領館に連れてこられたとき、10人程の屈強な騎士団員に囲まれた彼は、家屋上げて真っ直ぐに前を見据えていた。 堂々として穏やかで、口元にはうっすらと笑みすら浮かんでいた。動揺も...
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65 潜伏

 出陣の準備は速やかに進められた。まだ雪の解けない北方への遠征とあって、毛皮の装備がかなりの重量になる。冬の魔獣討伐を経験した者はほとんどなく、初めての冬の実戦となる。騎士団にも魔術師団にも戦に赴く独特の緊張感がただよっていた。  ...
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再び動き出す時間

 国王レオポルト3世陛下は、寝室の大きな寝台で、身体の半分を起こしていた。頬はややこけてはいるものの、血色はずっと良い。何より瞳に生気と威厳が戻っている。 「お前たちか」 私たちを見て、いつもの穏やかな笑みを浮かべる。傍らには...
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63 尋問

 窓の外には灰色の雲が広がっていてうすら寒く、また雪が降りそうだ。王都は少し暖かく感じる日もあったが、また真冬に戻ったような天気になっている。  王太子の執務室。ルドルフは、机に両肘をついて、口元で両手を組んでいた。 「だから...
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62 逃亡

だんまりを決め込むかと思ったウルリヒはどういうわけか饒舌になった。 もはや言い逃れできないと踏んで全部話す気になったのか…。私たちは判断しかねた。ただ、伯爵令息という身分上、いきなり縄をかけるわけにもいかず、彼の話を黙って聞くほかな...
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61 正体

「どういうことよ!何よ!どうなってるのよぉ!」 ミアは顔を赤くして泣き叫ぶ。私も含めてその場にいた者は皆ミアが錯乱したと思っただろう。ミアは酷く混乱し、そして怒っているようだった。ベルタ王女は美麗な眉をひそめる。 「あなた、何...
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60 衝突

陛下の放った光の球は閃光の尾を引いて襲ってきた。 父と兄、そして騎士団長親子、そして私も渾身の防御魔法をかけてシールドを張るが、耐え切れる自信はない。ルドルフは剣に魔力を込めて迎え撃つ。  最初の攻撃をシールドが何とか防ぐ。ジ...
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59 戦闘

「あたしね、おねだりしたの。王妃になりたいわって。だって殿下ったらあたしの魅了に全然かからないんだもの。エリアス様もね。なんでだろうって不思議だった。聖女がそばにいたからなのね。この間神殿に行ってわかったの。聖女には効かないんだって」 ...
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58 突入

朝から黒い雲が流れていたが、午後には雨混じりの強い風が吹き始め、窓ガラスが不気味になり始めた。  強い雨が時折吹き込んでくる王宮の回廊を、武装した隊列が進む。中庭の木々の枝がひゅうひゅうと音を立て、装甲が擦れ合う金属音は物々しい。陛...
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57 標的

―妃殿下…?  王太子の執務室にいた家臣たちは突然の王妃の登場に驚きの色を隠せなかった。それでも最上級の礼を持って迎える。王妃はそれを全て無視してつかつかと彼女の息子のところへ向かった。 「母上…どうなさいました」 ルド...
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