逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

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逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

36 心を包み合おう

 父と兄は小さい頃のように、代わる代わるよしよしと私の頭を撫でる。ルドルフは私たち家族の様子を見守っていたが、不意に私の腰の辺りに手を回し、彼らから引きはがした。 ―!? 「もういいだろう」  声色に苛立ちが混じっている...
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35 私の家族

「お父様…?」  私は驚きの声を上げる。 「俺が呼んだんだ」  ルドルフはそう言って私の両肩を叩いた。 「王国の小さき太陽に拝謁申し上げます。大神官様におかれましてもご機嫌麗しく」 カレンベルク侯爵家当主ヴァ...
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34 以前の私と今の私

  「…聖女?私が…?」  私は神官の言葉の意味を上手く飲み込めずにいた。 「そんなことできませんよ。だって光の魔力が…あ…」 とそこまで言って、思い当たった。昨夜散々魔力を注がれたことを。 「光の魔力はお前...
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33 神殿は初代聖女を祀ります

 神殿へと向かう馬車の中で、なぜか私はルドルフの膝の上に座らされている。文句の一つも言いたいところだが、にまにまと、満足そうにしているルドルフの顔を見ると、何も言えなくなってしまう。  今も上半分だけ編み上げた私の髪をすくっては自分...
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32 どうやら限界突破のようです

「ま。待ってください、限界って…」 私の身体を挟んで寝台に両腕をついたルドルフは荒い息をしている。「魔力が暴走しそうだ」 そう言った王太子の頬は赤く、サファイアの瞳には妖しい光がさしている。首筋には玉のような汗が光り、とてつもない色気を放...
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31 時を超えて5

1 「あぁ…そう…だよな」 王太子はクシャっと頭をかいた ―何のことだろう 「覚えているか?あの時のことを」 「ええ…もちろんです」  王宮の中庭で、木登りをして落下したところをルドルフが受け止めてくれ...
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30 時を超えて4

30  北の山に出現したドラゴンは小さな山一つ分はあるような巨体で、黒く鈍く光る鱗を持ち、その目は赤く光っていた。周りには瘴気が満ち、長い尾が左右に揺れている。 ”ゴオオオーー” 地響きのような唸り声を上げている。騎士団...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

29 時を超えて3

29 「……どういうことですか?私はあなたの光の剣に刺されたのだと…」  王太子は金の髪を搔き上げながら首を振った。 「光はお前の身体の中からあふれ出た。光の魔力が放出されたんだろう」 「私が…光の魔法……...
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28 時を超えて2

その時の私は、まさに人生の絶頂期、我が世の春にあった。王国の小さな太陽とうたわれ、眉目秀麗、人望もあり、賢君になること間違いなしと人々が口々に褒め称える王太子。しかも、久しぶりに明らかになった聖女が、私の妃になることが決まったのだ。心優し...
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27 時を超えて1

 空には満ちきった月が上っているようで、窓から差し込む光の明るさが増した。ルドルフの黄金色の髪が光を帯びて輝き、星屑を散らしたように見える。サファイアの瞳は濃さを深め、吸い込まれそうだ。どこまでも美しく、そして官能的。ここにきてな...
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