王子様

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逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

85 エピローグ

* * * * ――7年後    ハイリゲンクロイツ王国は新しい時代を迎えようとしていた。 国王フリードリヒ3世が退位を決断したのだ。老年期とはいえ、退位をするにはまだ若く慰留する声もあったが、一...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

84 永遠

神殿の重い扉が開き、荘厳なパイプオルガンの響きに包まれる。  高い天窓から射し込む光も、精緻な装飾が施された大理石の神殿の建物も、装飾の花も真っ白で、ここは天上世界かと思われた。  父にエスコートされて歩みをすすめると、列席者...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

83 幸せになること

 雲一つない、どこまでも抜けるような青空。  ハイリゲンクロイツ王国は祝いの熱気に包まれていた。王国各地のどんな小さな村であっても、人々はめいめいに一張羅を着飾って広場に集まり、魔道具が映し出す大神殿の前の映像を見ている。  ...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

82 聖女の行方

ドーム型の天井にある天窓から穏やかな光がさしこんでいる。 大神殿の広間のあちこちで、神官や王宮から派遣された者たちが物を運び込んだり、手順を確認したりと準備をする姿が見られる。 赤い絨毯が敷かれた祭壇の前で私は恒例となった”聖...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

81 光の向こう側

轟音が天地をつんざく。地響きが大地を激しく揺さぶる。 岩がガラガラと崩れていく音がして、耳の奥がキンとする。 烈しいほどの眩さの中にいて、視覚は失われているが、ただすぐそばにある存在は確かで、全感覚をもってその存在を求める。 ...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

80 光の中へ

私たちは白い世界の中にあった。  神龍の頭から放たれたまばゆい光は私たちを、洞窟を覆いつくし、辺り全体を光の中に包み込んだ。 逞しい温もりが、私の身体を優しくだがしっかりと包むこむ。 「どうして…」 戸惑いからつい...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

79 覚悟

 龍は巨大な身体をゆっくりと動かして四本の脚を折って腹を地面に着ける。そして頭を下ろし、自らの急所である眉間を晒した。 『さあ…』 龍は私を紫の眼で見据える。私は目と目を合わせたまま、ゆっくりと腰に差した短剣に手をかけた。 ...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

78 提案

 龍はティアを抱いていた前足を緩め、胴体を少し浮かせた。 フリードリヒは老いて瘦せていたが、歳の割に逞しい腕で彼女の亡骸をしっかりと抱えた。 『光の力は大地に還ればまた蘇り、適合する器を探し、その人間を通して瘴気を浄化する。決...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

77 伝説の真実4

『今さら…よく来れたものだな』 龍の声には怒気が含まれていた。 「……」 フリードリヒはうなだれる。言い訳をするつもりはないようだ。 「どうかティアを弔わせてくれ…」 『せっかく光を与えてやったのに、使い方を...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

76 伝説の真実3

『盗まれた?』 「ええ。王宮の宝物庫の奥に鍵もかけてしまってあったのだけど…。盗んだのは私の侍女ミリーだわ。同じ…北の村の出身で、素直ないい子なの。とても信頼していたから…話したのだけど、それがいけなかったのね。彼女は魅了の力を手に...
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