小説

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逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

再び動き出す時間

 国王レオポルト3世陛下は、寝室の大きな寝台で、身体の半分を起こしていた。頬はややこけてはいるものの、血色はずっと良い。何より瞳に生気と威厳が戻っている。 「お前たちか」 私たちを見て、いつもの穏やかな笑みを浮かべる。傍らには...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

63 尋問

 窓の外には灰色の雲が広がっていてうすら寒く、また雪が降りそうだ。王都は少し暖かく感じる日もあったが、また真冬に戻ったような天気になっている。  王太子の執務室。ルドルフは、机に両肘をついて、口元で両手を組んでいた。 「だから...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

62 逃亡

だんまりを決め込むかと思ったウルリヒはどういうわけか饒舌になった。 もはや言い逃れできないと踏んで全部話す気になったのか…。私たちは判断しかねた。ただ、伯爵令息という身分上、いきなり縄をかけるわけにもいかず、彼の話を黙って聞くほかな...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

61 正体

「どういうことよ!何よ!どうなってるのよぉ!」 ミアは顔を赤くして泣き叫ぶ。私も含めてその場にいた者は皆ミアが錯乱したと思っただろう。ミアは酷く混乱し、そして怒っているようだった。ベルタ王女は美麗な眉をひそめる。 「あなた、何...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

60 衝突

陛下の放った光の球は閃光の尾を引いて襲ってきた。 父と兄、そして騎士団長親子、そして私も渾身の防御魔法をかけてシールドを張るが、耐え切れる自信はない。ルドルフは剣に魔力を込めて迎え撃つ。  最初の攻撃をシールドが何とか防ぐ。ジ...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

59 戦闘

「あたしね、おねだりしたの。王妃になりたいわって。だって殿下ったらあたしの魅了に全然かからないんだもの。エリアス様もね。なんでだろうって不思議だった。聖女がそばにいたからなのね。この間神殿に行ってわかったの。聖女には効かないんだって」 ...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

58 突入

朝から黒い雲が流れていたが、午後には雨混じりの強い風が吹き始め、窓ガラスが不気味になり始めた。  強い雨が時折吹き込んでくる王宮の回廊を、武装した隊列が進む。中庭の木々の枝がひゅうひゅうと音を立て、装甲が擦れ合う金属音は物々しい。陛...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

57 標的

―妃殿下…?  王太子の執務室にいた家臣たちは突然の王妃の登場に驚きの色を隠せなかった。それでも最上級の礼を持って迎える。王妃はそれを全て無視してつかつかと彼女の息子のところへ向かった。 「母上…どうなさいました」 ルド...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

56 桃色の暗い影

「…待ってください。何かの間違いです!」 私は必死だった。私がいつ市民をないがしろにした?全くもって心当たりがない。とんでもない。誤解だ。「分かっているさ。私の娘がそんなことをするはずはない。だが、陛下は確信なさっていてな…誰から何を聞い...
逆行した悪役令嬢は貴方なしでは生きられません!

55 婚約の行方

ここ数日間、私は王宮での祭儀の準備に追われていた。祭儀は基本的に大神殿で行っているが、年に数回王宮内の神殿でも執り行われる。王族の誕生日などの特別な日に行われる祭儀である。今回は先代国王の命日に合わせて王宮で祭儀が行われる。聖女が明らかに...
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