御曹司

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汚部屋の主は幼馴染で御曹司

11 家政婦の仕事

 髪を整え、ネイビーのピンストライプのスーツに濃紺のネクタイをきちんと締めている。 涼し気な切れ長の目に高い鼻梁の整った顔。ファッション雑誌から抜け出てきたようなスタイリッシュさ。 先程のぼさぼさ頭のだらしない姿とはま...
汚部屋の主は幼馴染で御曹司

10 汚部屋の主

黒い扉の横にインターホンがある。応答がなければ、預かった鍵で入ることになっている。 月曜日だし、出社していないだろうな… とりあえずインターホンを押してから、鍵を取り出そうとトートバッグに手を入れたとき、機械音が鳴って、ガチャ...
汚部屋の主は幼馴染で御曹司

9 初出勤

次の月曜日。 冷蔵庫のドアをあけ、水のペットボトルを取り出す。キンキンに冷えた水喉に流し込み、身体に鞭を入れる。 いつも会社に行くときのルーティーンだ。 今日から壮ちゃんのところで家政婦の仕事をする。 ...
汚部屋の主は幼馴染で御曹司

8 宮野壮一郎

「仕事は月水金の週3日。時間は10時から16時。日奈さんにお願いしたいのは部屋の清掃、洗濯です。衣類のクリーニングはこちらでやりますから回収をお願いします。後は秘書の遠山様…ご存じですね?」 書類に目線を落としていた城戸さん...
汚部屋の主は幼馴染で御曹司

7 仕事の依頼

素っ頓狂な声を出し、目を見開いているわたしに、百合子さんは優美な口元を緩ませた。 「そうよねぇ。日奈ちゃんだって就職してバリバリ働いていたものね。いきなり畑違いのことを頼むのは気が引けるのだけど…」 百合子さん...
汚部屋の主は幼馴染で御曹司

6 母の親友

13時5分前 マンションの窓から下を見ると、エントランスの前に紺色の車が停まっている。磨き上げられたボディーが夏の厳しい日差しを鏡のように反射している。  鏡に向かって黒のノースリーブのニットに毛玉がないことを確認し、クローゼットか...
汚部屋の主は幼馴染で御曹司

5 母との電話

はぁ…… スマホアプリで銀行の口座残高を眺めながらわたしは溜息をついた。 今月は有給を消化するとして、来月からは無職。 失業手当と、わずかばかりの退職金。そして結婚にむけてコツコツと貯めてきた貯金。今のわたしの全財産だ。...
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4 別れ

「日奈、俺たち…別れた方がいいと思うんだ。」 仕事終わりに話がしたちとと呼び出されたホテルのバーで、渉がそう切り出したのは2週間前のことだった。 「ずるい言い方だね。別れたいってそう言えばいいのに」 渉は少し眉間に皺を寄...
汚部屋の主は幼馴染で御曹司

3 小さな疑惑

 渉と初めて会ったのは、2年ほど前。大阪支社から東京本社の営業部に異動してきて、わたしがアシスタントについた。  明るい茶髪、人懐こい笑顔。中高大とサッカー部でキャプテンもやっていたという体力と高いコミュニケーション能力を買われてい...
汚部屋の主は幼馴染で御曹司

2 憂鬱な月曜

 梅雨明けが発表されていないというのに、今日の東京は朝からうだるような暑さだ。 スマホには高温注意報の通知が来ているし、こんな中出勤するのかと思うと気が滅入りそうになる。ワンルームマンションのエントランスドアを開ければ、むあっとした...
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